2/6~7と、(財)伊勢修養団主催の『みがく講習会』に参加しました。
通常は3泊4日の講習会なのですが、2月の厳寒期のみ、1泊2日の特別講習会が設けられており、2月中に3回あります。その最初の講習会でした。
定員100名なのですが、厳寒期ということもあり、今回は60名弱の参加でした。厳寒期を強調したのは、スケジュールのメインが『禊ぎ』だからです。
伊勢神宮の参道入り口に架けられている、日本百名橋のひとつ「宇治橋」の下を流れているのが五十鈴川ですが、禊ぎは、この川の中に入る水行により行われます。2/6~7というと、24節気で立春を過ぎたとは言え、実際にはまだまだ晩冬の装いの時期の禊ぎは、想像しただけでも寒気がしてくるものです。
それでも全国各地から60名弱が集まりました。中には12年連続で参加されているというつわもの(ナント女性です!)もおられました。
伊勢修養団というとその名称から、何か宗教臭いイメージを持たれる方もいると思いますが、そうではありません。列記とした文部科学省所管の財団法人で、日本の代表的な社会教育団体のひとつです。
日本の社会教育活動において修養団から広がったものは多く、現在日本各地で行われている『キャンプなどの野外活動を通じた青少年育成活動』を社会教育の手法として初めて日本に導入したのが修養団です。
そして、当初修養団が全国各地で実施した野外研修の朝礼に行われた体操は「国民体操」と呼ばれ、この国民体操をベースに作られたのが、今日のNHKラジオ体操なのです。
伊勢修養団(略称SYD)の歴史はとても長く、平成18年(2006年)に創立100周年を迎えました。
創始者は日本の社会教育活動の基礎を築いたとされる蓮沼門三先生です。
修養団創立は、東京府師範学校(現・東京学芸大学)の学生時代だそうですが、そのいきさつは次の通りです。(喜多方市HPを参照させていただきました。)
明治36年(1903)、蓮沼先生が21歳のときに、東京府師範学(現・東京学芸大学)に入学しましたが、寄宿舎に入ると、そのあまりの汚さにおどろき、寄宿舎をきれいにすることを思い立たれました。毎朝みんなより早く起き、夜は消灯後に、寄宿舎の廊下・便所・自分の部屋の雑巾がけを始めました。それもただ一人でもくもくと・・・。雑巾をしぼった時、腫れあがった手の甲が破れ鮮血が吹き出し、バケツの水を赤く染めても、雑巾がけを続けました。 この姿に心を打ち共鳴する者が徐々に増え、いつしか全寄宿生が一体となって美化清掃を行うようになっっていきました。
「天下を動かさんとするものは、まず自ら動くべし」との理想を高くかかげ、行動を重んじたその姿に、学生のみならず教師までもが共鳴し、多くの同志を得たのです。そして2年後の明治39年2月11日、師範学校の食堂に、全職員、学生約400人が集い、「総親和総努力」の明るい社会建設をめざして修養団が設立されたのです。修養団会員には「修養の三主義」が提唱され、今日まで続いています。
修養の三主義
1.瞑想;朝起きた時や夜寝る前に静座して心を落ちつけ、自分や世界のありかたを考える。
2.偉人崇拝;尊敬する偉人の言動をいつも心に思い起こし、少しでもその人に近づくように努力する。
3.流汗;汗を流し、自分をきたえ、理想の社会を建設するよう努力する。
この三主義をもとにして、心をみがき人間力を高める『みがく講習会』が開催されています。講習会のメインは、五十鈴川における禊ぎと伊勢神宮正式参拝です。
講習会には、1泊2日と3泊4日の2種類があり、東芝をはじめとした多くの企業
や青年会議所が、社員会員教育の一環として参加しています。
現在では青少年教育のみならず、子どもを対象にした自然体験キャンプや海外の恵まれない子どもたちとの交流活動など多数の事業を展開しています。
講習会場は、伊勢神宮参道入り口近くにある『伊勢青少年研修センター(伊勢道場)』です。
伊勢修養団の教育方針に感銘したこともあり、その紹介でちょっと前置きが長くなりましたが、お許し下さい。
2010年庚寅年を、禊ぎと伊勢神宮正式参拝にて出発したい!という思いで、立春直後の2/6~7、1泊2日のみがく特別講習会のほうに、今回はじめて参加させていただきました。
2/6の早朝6:30に上野駅入谷口にて、同意してくれた立命塾門人の2名と待ち合わせ、車で出発しました。
東京近郊から見て伊勢神宮は今年、五黄殺と歳破の方位にばっちり位置していますが、心身を克己する修養を目的とするには、返って良し!!という固い決意を持って臨みました。
立春を過ぎたとは言え、まだまだ寒い時期ですが、折りしも今年最強の寒気団が日本上空に流れ込んでおり、名古屋付近も雪が朝から降るという予報を聞き、やはり五黄殺と歳破の試練があるかなと、少なからず覚悟していました。
首都高速から東名高速へと走らせ、車は順調に進みましたが、案の定浜松あたりになると雲行きがかなり怪しくなり、豊田東から伊勢湾岸自動車道へ入る頃には、雪が降り始めました。途中トイレ休憩のため、豊明でサービスエリアに入りましたが、その先の東海~みえ川越までの区間は降雪のため通行止めとなっており、仕方なく一般道の国道23号線へ下りざる終えなくなりました。
きたきたっ!!五黄殺と歳破の試練が!!
なんとタイヤはノーマルでしたので、このまま進んでいくともっと降雪がひどくなりはしないか、大丈夫かと、ウメサンのみならず3名とも心中穏やかならなかったのか、それまではずんでいた会話もとぎれ、しばらく無言のときが流れていきました。
国道23号線は高速道路から降りた車で大渋滞となり、ノロノロもいいところでした。これでは14時の開講に間に合わない!そんな思いが3名の心のうちにさらに追い討ちをかけ、昼間だというのに降雪曇天の天候も手伝ってか、ますます陰氣な車内となりました。
通常30分くらいで行ける区間を2時間くらいかけ、ようやく再び伊勢湾岸自動車道に乗ったのは、もう13時近くでした。
雪は相変わらず舞っていましたが、路面を覆うほどではなく、ノーマルタイヤでも規制はされませんでした。そこから時速120kmを超えるスピードでイザ伊勢へ!
研修センターに到着したのは2時半近くでした。運転をしてくれたKさんが、五黄殺と歳破の厄落としができましたねとしみじみと言われましたが、まさに其の通りだと実感しました。
きっと、すばらしい講習会になるいちがいない!
そう確信しました。
受付では、武田所長が笑顔でやさしく迎えて下さり、癒されました。
そのまま講堂へ行き、なんとか14時30分からの開講式に間に合いました。
部屋にはルームナンバーの他、ルーム名も付いており、ウメサンの部屋は「努力村」でした。修養団では班とは言わず、村というそうです。
各村の年長者が村長で、一番年少者が助役です。
もちろん53歳のウメサンが村長でした。
みがく特別講習会のスケジュールは下記のとおりです。
一日目(2/6)
14:00~14:30 開講前準備・礼法作法実習
14:30~15:00 開講式
15:15~16:15 童心行
16:30~18:00 講 話
18:10~19:00 夕 食
19:15~20:00 諸準備・水行方法について説明
20:15~21:15 反省行
21:15~22:00 水 行(みそぎ)
22:00~22:30 直 会
22:30~23:30 入 浴
23:30~24:00 就寝準備・消灯
二日目(2/7)
05:30 起 床
05:30~ 5:40 乾布摩擦
05:40~ 6:10 洗 面・整 容
06:10~ 6:40 朝の行事
06:40~ 8:00 特別参拝 伊勢神宮・内宮御垣内
08:00~ 9:00 朝 食
09:00~10:30 講 話orブラインドウォーク
10:30~11:15 掃除に学ぶ
11:15~11:40 閉講式
説明は省略しますが、童心行や反省行も、とてもすばらしいカリキュラムのひとつでした。文字通り童心に返り、そして己の人生を反省する時間をいただきました。ろうそくを灯しながらの反省行では、人知れず涙が流れて止まりませんでした。
そしてついにメインである『禊ぎ』の時間がきたのです。
反省行の前に、男は褌を締め、女性は白衣をまとい、其のうえにトレーニングウエアを着ました。褌を締めたのは生まれて初めてでした。(感激する心の余裕は正直ありませんでしたが・・・)
禊ぎは前述したように、伊勢神宮境内を流れる五十鈴川に入る水行ですが、雪はすでに止んだとは言え、夜9時過ぎの伊勢は、気温0度近くまで下がっていました。ウメサンは若かりし頃、真冬に風呂場で水をかぶる水行を数十日間続けた経験もあり、禊ぎには自信があったのですが、いざ厳寒の屋外に出ると、正直不安がよぎりました。
心臓まひで倒れないか・・・
倒れたら、やっぱり五黄殺、歳破の凶作用が現れたじゃないか、
そんなふうに言われるだろうなあ・・・
しかしそういう邪念が消えうせるほどの寒さの中、頭には『愛』『汗』と書かれた鉢巻を締め、三列になって五十鈴川へ向かいました。
5分ほどで川岸に着き、男女はもちろん場所を離れてから脱衣!!褌一丁です。
5分ほど氣を練る運動動作をなし、そして講師の合図の下、いざ五十鈴川へ!!
川の水は、予想はしていたものの、まさに身を切るほどの冷たさでした。
おまけに履いていたビーチサンダルのうち、左側が流され、足裏が川砂利で痛いし、冷たいし・・・。
講師の号令と共に首まで川につかりました。首までつかると、思ったより冷たさを感じず、心が落ち着いていた自分が不思議でした。
(画像は伊勢修養団のHPより転載)
そして和歌を吟じるのです。
五十鈴川~ 清き流れのすえ汲みて~ 心を洗え 秋津島人~
川につかること約3分、
講師の号令と共に立ち上がり、そして岸に上がりました。
その後整理運動を行い、褌を脱ぎ、身体を拭いて、下着とトレーニングウエアを着ました。
そして隊列をなし、玉砂利を踏みしめながらセンターへ戻りましたが、見上げると満天の星空が、禊ぎを終えた私達を祝してくれているようで、とても感激しました。
その後、直会(なおらいと読む ※)が行われましたが、禊ぎの勝利を祝って、所長がお神酒を振舞ってくださいました。このお神酒がとってもうまかった!!(お替りしたかったのですが、予めお替りはできないと念を押されていました。)
その後みんなでセンターの大浴場へ行きましたが、湯船につかったひと時は、心を洗われた充実感で、これも至高の一時でした。
その日は23時過ぎに就寝しましたが、ぐっすりと休めました。
7日は午前5:30に、大太鼓の轟音とともに起床し、いよいよ伊勢神宮内宮での正式参拝です。
(続く)
※直会(なおらい)とは、神社に於ける神事の最後に、神事に参加したもの一同で神酒を戴き神饌を食する行事(共飲共食儀礼)。一般には、神事が終わった後の宴会(打ち上げ)と解されているが、本来は神事を構成する行事の一つである。
この記事はお役に立ちましたか?
★をクリックしてください。
平均評価 / 5. 投票数