今回は、先月24日~25日に催行した立命塾主宰『周易講座』において、受講生の皆さんに実占していただきましたが、その中のひとつとして、「大相撲初場所で、朝青龍は優勝できるか!?」という占的に対する占断結果をご紹介します。
立命塾における易学講座は、1月~3月の3ヶ月6日間(各月土日2日間ずつ)をかけて、周易と断易の両方を学びます。 1月は周易の基本理論を学びました。2日目は、受講生の皆さんに占的を決めていただき、各々コイン3枚を使用する擲銭法により占断していただきました。
折りしも25日(日)は大相撲初場所の千秋楽でしたので、「朝青龍は久しぶりに優勝できるか!?」が、タイムリーな関心事でしたので、受講生のお一人にコインを振ってもらいました。実占した時刻は、全勝優勝かけた本割の約2時間前、午後3時頃でした。なお、周易講座でしたので、占断は周易にて行ないました。
出された卦は、本卦が『天地否』第三爻、第五爻、上爻が変爻となり、之卦は『雷山小過』でした。
天地否は、六十四卦の第十二番目の卦で、内卦(下)が坤、外卦(上)が乾で構成され、上卦「乾」は天、下卦「坤」は地を表します。天が上、地が下で理に適っているように見えますが、実際には天地が背き陰陽が通じていない形象で、「否」と命名されました。否は「塞がる」の意味です。序卦伝には物は通じるばかりでなく、時がたてば塞がるので地天泰の次に置かれているとあります。
一方雷山小過は、六十四卦の第六十二番目の卦で、内卦(下)が艮、外卦(上)が震で構成され、上卦「震」は雷、下卦「艮」は山を表しますが、雷が山上にあり、小さな雷鳴が過ぎていく形象です。過ぎていくとは実行することです。
序卦伝によれば、誠意ある者は必ず言ったことを実行するので、「中孚」の後に「小過」が置かれたとあります。
卦辞に「小過亨。利貞。可小事。不可大事。」『小過(しょうか)は、亨(とお)る。貞しきに利(よ)ろし。小事には可なり、大事には可ならず。』とありますが、小事であれば多少の分を越えた行いでも受け入れられますが、大事を行う者ほど、己の分をわきまえて、足るを知り、陰徳を以って謙虚でなければならないことを教えています。
またこの卦は、中央(三爻、四爻)の二つの陽爻を胴体、上下の二つずつペアの陰爻を両翼とする飛鳥になぞらえることができ、卦辞に「不可大事飛鳥遺之音。不宜上、宜下。大吉。」『飛鳥(ひちょう)これが音を遺(のこ)す。上(のぼ)るに宜(よろ)しからず、下(くだ)るに宜し。大いに吉なり。』とあり、飛ぶ鳥が鳴き声を遺して過ぎる場合、高みに上ろうとすれば行き場を失いますが、舞い降りようとすれば安住の地を得ることができるとあります。人も同じで、登り詰めようとするのでなく、己を低くして謙虚であろうとする姿勢が大切であることを教示しているなかなか深い卦で、そうあれば小事は適うということです。
天地否⇒雷山小過へ之(ゆ)く過程から、本割では完敗しますが、それで返って落ち着き、謙虚に本割の取り口を反省して、初心に帰って決定戦に臨むことにより、全勝優勝という大事は逃すも、決定戦に勝利して復活優勝を遂げると占断しました。
結果はご存知のとおり、本割りは寄り倒しで白鵬の圧勝、その後の決定戦では寄り切りで朝青龍が勝ち、14勝1敗という見事な成績で復活Vを成し遂げました。
優勝インタビューで朝青龍は涙ながらに「朝青龍は帰ってきました。」と感激していましたが、卦辞のとおり、行き場を失いつつあった飛ぶ鳥が、本来の安住の地に舞い降りたという易象のごとくでした。
ただし優勝決定後のガッツポーズが横綱としての品格に抵触し、物議を醸しましたが、これも雷山小過の卦辞の教示を逸脱した故の結果だったのでしょう。
以上、またまた受講生の皆様と共に、易の奥深さを実感させていただいたウメサンでした。
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