15日は帰宅が深夜となってしまい、予定より一日アップが遅れましたこと、お詫び申し上げます。さて今回は予定したとおり、「義経と老子の思想」と題して投稿させていただきます。
NHKの大河ドラマ「義経」は、12/11に最終回を迎えました。物語はだいたいどなたもご存知のストーリーと思いますが、血縁関係を越えるほどの熱い契りを持つ、弁慶をはじめとした従者の死、そして自害する義経のラストシーンには、涙を禁じえませんでした。
義経の生き様は、もちろん作者のフィクションの部分もあろうかと思いますが、宮本武蔵や坂本龍馬と比肩する「日本史上のヒーロー像」そのものと感じます。彼らの生き様には、命をかけて慕う従者や静御前のような花のある女性の存在という共通点を見出すことができます。
しかしこのヒーロー像は、なにも日本だけではないようです。西欧史におけるヒーローの筆頭は、イエス=キリストではないかと私は思いますが、イエスの生涯にも、この2つの共通性を見出すことができます。イエスの周りには、イエスを命がけで慕うマクダラのマリヤをはじめとした女性たちの存在がありました。残念ながらイエスは、ユダをはじめとした十二弟子の裏切りにより、十字架の極刑で33歳という短い生涯を閉じましたが、イエスの死後、復活したイエスに出会った弟子たちは悔い改め、命をかけてイエスの福音を伝播していったと新約聖書には記されています。そういえば義経も龍馬も、イエスと同じ33歳という短い生涯だったのも、偶然ではない気がしてなりません。
義経は、争いのない「新しき国」を求め、兄である頼朝と道を違えてしまったわけですが、龍馬も新しい日本国を目指し、イエスも新しき神の国を目指していたというのも、私にはこの3人がだぶって見えてなりません。生まれ変わりというものがあるのかどうかは、私にはわかりませんが、輪廻転生しているのかと感じざるを得ない一致点を見出せることは確かです。
さて、義経は争いのない「新しき国」を求め、志なかばでこの世を去りましたが、義経の目指したこの「新しき国」とは、一体どんな国だったのか?そのことを考えたときに、私の脳裏に浮かんだのが、道教の開祖であり、風水思想にも多大の影響をもたらした「老子」の説くユートピアでした。
老子の説くユートピアは、書物「老子」の第80章に記されています。
小国寡民、使有什伯之器史而用、使民重死而不遠徒。
雖有舟輿、無所乗之、雖有甲兵、無所陳之。
使人復結縄而用之、甘其食、美其服、安其居、楽其俗。
隣国相望、鶏犬之声相聞、民至老死、不相往来。
そこには、たとえ鶏や犬の声が聞こえるほど近い隣国であっても、今の衣食住に充足している民は移ろうともしないほどの、争いのない共生共栄共義の小国こそユートピアだと記されています。
まさに義経は、そういった小国を目指していたのだろうと、最終回を見終わって目を閉じながら感慨に耽った私でした。
小国寡民、私も目指したいものです。
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