ビッグモーター保険金不正水増し請求事件を風水学と命理学にて考察Ⅰ
さて今回は、国内における中古車販売最王手のビッグモーター事件に関して、考察させていただきます。先ずは風水学の観点から見てみましょう。
下画像は、兼重元社長のご自宅衛星画像です。周りの邸宅と比較しても、とても広大な敷地であることがわかりますが、470坪あるとのことです。元はソニー創業者の盛田昭夫氏の邸宅地だったようですが、2018年に住友林業施工により新築された大邸宅です。
イチロー選手がオリックス在籍中、愛知県内に新築した自宅の施工会社も住友林業でしたが、施主であるイチローの意向で、風水を取り入れた建築だったと言われています。兼重邸も風水を取り入れている形跡を、衛星画像を通して見受けることができます。下画像は建物の形状を線で囲ったものです。
平面図上はコの字型をしており、建物向きは東南向き、二十四山方位では巳向きで、コの字型の建物と付属建物が噴水のある庭園を囲むようになっています。
張りと欠けを重視する日本の家相学では、コの字型の建物は大きな欠けが生じて凶相とされます。特に凹部の欠けが大きいと、太極(一階の重心)が建物の外の凹部になってしまい大凶とされます。
下図は兼重邸一階部分の外郭を赤線で囲った図ですが、太極は屋内に入っています。
さて、兼重邸を風水学で考察する上で比較のために、中国伝統の風水を駆使して建築されたホテルを取り上げてみましょう。
下画像は香港のペニンシュラホテルを前面から撮影した画像ですが、言うまでもなく中国伝統の風水を駆使して建てられたホテルです。
この正面立面画像からだけでも、メインエントランスが奥まっているコの字型の建物であることがわかると思いますが、下の建物の形状を線で囲った衛星画像を見ていただくと、はっきりとわかります。
(このGoogle衛星写真は、真上でなくやや斜めから撮影されてものですが、一階フロアを基にした形状に強調線を入れました。)
ペニンシュラ香港は、イギリスの統治下にあった1928年に竣工し開業していますが、現在のタワー部分はなく、コの字型に近い形状でした。(実際には現在のタワー部分が欠けたH字に近い形状)
左側が竣工直後の建物全景写真です。右側が現在の建物全景写真で、1994年に30階建てのタワー部分が増築されました。
下の左図は増築前、右図は増築後の平面図で、どちらも太極は建物内にあります。
ペニンシュラは英語Peninsulaのカタカナですが半島の意味があり、ホテルの中国名は「半島酒店」です。下の衛星画像を見ればわかるとおり、九龍半島の先端近くに建築されています。
好風水地の条件のひとつとして「背山臨水」があります。文字通り、背(後ろ)を山にして、前は水(河川、湖、湾など)を臨む立地を指します。ペニンシュラ香港は、筆架山、獅子山を背にして、観光名所のビクトリアハーバー(維多利亜港)と呼ばれる港湾に臨む好風水地であることがわかります。言うまでもなく、建設地選びから華人の地理師(風水師)が関わり、建設されたホテルです。
1928年開業以来、第二次世界大戦時に日本の軍政下で軍関係の施設とされた4年余りを除き、長らく香港を代表する五つ星ホテルとして、何か月も前に予約しないと部屋が取れないほどの人気を博していましたが、競合する高級ホテルが増えたこともあり、1990年代に入ると空室が生じる日が多くなってきたというのです。
窮状を打開するために地理師(風水師)※に鑑定を依頼すると、立地としては吉地だが、安定感の欠ける形状で良くないため、タワー増築を勧められたのです。第二次大戦以前から長らく、ペニンシュラホテルに近い九龍半島北東にあった啓徳空港が国際空港として使用されていたため、高さ制限がされていましたが、九龍半島から離れたランタオ島に新国際空港(1998年開港)が建設されることになり、高さ制限が解除され、高層建造物建設が認可されて、地理師の指導の下、30階建てのタワーが増築されたのです。
ここで質問です。
①たまたま運よく、高さ制限が解除されたときだった
②天地の生氣を受ける好風水地の立地が、国際空港移転による高さ制限解除を引き寄せた
皆さんはどちらだと思いますか?
風水学上の見解は後者の②なのです。ペニンシュラ香港の立地は「背山臨水」と既述しましたが、それだけではなく、龍穴地でもあります。これに関しては、後述しています。
風水学上の好条件が凝縮した立地は、風水を正しく使うことにより、時と環境をも変化させることができるということです!
さて再度、タワー増築前と後の建物全景写真をご覧ください。1994年のタワー増築前と増築後を比べた場合、現在のタワー増築後のほうが、どっしりとした安定感を感じないでしょうか!?
タワー増築後は、例えると「ひじ掛け椅子」のようです。下の左画像は拙宅にある応接セットの肘掛け椅子ですが、ひじ掛けのない椅子と比べて座っても安定感があり、脱力できて長時間座っていることができます。
また、ライオンが前足を立ててすっくと座っている姿にも似ています。中国風水的には獅子像(右画像)のようです。
日本の家相学では、平面図上二次元での建物形状で張りや欠けをはじめ、吉凶を判断しますが、中国風水学では、3D三次元での建物形状にて吉凶を判断しますので、平面図上、たとえ欠けがあったとしても、凶とは判断しません。ペニンシュラ香港の場合、平面図上はメインエントランス前は大きく欠けていますが、3D三次元で見た場合、上述したように安楽な肘掛け椅子、獅子像のような形状で、どっしりとした安定感があり、むしろ吉相と判断します。とは言え、欠けがあっても全て凶相でないとは限りません。この説明は長くなるため、立命塾の講座に譲りたいと思います。
なぜ肘掛けのある安楽椅子型のペニンシュラ香港が吉相なのかを、もう少し風水学にて深めていきたいと思います。
下の左図は、最高の好風水地「龍穴」地を中心とした理想形とされる四神相応モデル図です。
龍穴とは、天の生氣と大地の生氣が交合するスポットのことで、穴になっているわけではありません。そして龍穴の前には、生氣がたまるような低い平地を要し、明堂(めいどう)と呼ばれています。
四神とは、
玄武(げんぶ);大地の生氣が流れくる山々
青龍(せいりゅう);龍穴を守護する山並み、図では龍穴の右側の山並みで青龍砂(さ)と言う
白虎(びゃっこ);龍穴を守護する山並み、図では龍穴の左側の山並みで白虎砂(さ)と言う
朱雀(すざく);龍穴から生じる生氣が広くゆるやかに行き渡るように、河川、湖、湾、山、島などで形成された地形
です。
上の右写真と照合すると、
玄武=タワー
青龍=写真の右側の張り出し部分
白虎=写真の左側の張り出し部分
朱雀=前面道路、湾、香港島
龍穴=太極(建物の一階重心)
明堂=噴水のあるメイン玄関前の凹部
となります。
香港の地理地勢で見ても、ホテルの立地こそ龍穴地なのですが、タワーが増築されたことにより、ホテル自体もコンパクト化した四神相応の形状になっているのです。
さて、比較対象のペニンシュラ香港に関する説明が長くなってしまいましたが、兼重邸に戻りましょう。
下は兼重邸を東南から西北に向けて俯瞰した写真です。
ペニンシュラ香港のように、コの字型に左右が張り出しています。四神に対応させると、
右側の張り出し=青龍
左側の張り出し=白虎
となります。
そして右側の張り出し部分のほうが左側より大きいことがわかります。風水では青龍のほうが白虎よりやや強い(大きい、張り出しが長い)のを良しとしますが、そのとおりで吉相です。
建物は3階建てですが、奥の西北側が3階で、張り出し部分は2階となっており、3階部分が玄武にあたります。この付近は第一種低層住居専用地域に指定されており、高さ10mまでの制限があるため、高くても3階までが限度ですが、制限内で玄武に相当するようにしていることがわかります。
また、凹部にはペニンシュラ香港のように噴水が設けられた庭園になっており、ここが明堂にあたります。こうして見ていくと、確かに風水を取り入れていることがはっきりとわかります。
ただし問題もあります。セキュリティーのためでしょうが、向きとなる東南側に門がなく、木造の建物(茶室の建物?)が建てられ、さらに3m以上はありそうな高い塀でぐるっと囲まれています。北東側にガレージのシャッターがありますが、かなり閉鎖感の強い住空間となっています。正直これでは、せっかく住居を四神相応形にしていても、生氣を呼び込みづらい造りとなっています。
それだけではなく問題は入居時期です。風水は、着工、地鎮祭、入居、開所などの重要行事は必ず擇日法を駆使して、吉日時に催行するようにしますが、2018年3月撮影のGoogleのストリートビューで見ると、敷地内に重機が写っており、まだ基礎工事段階のようでした。大きな規模のRC構造建物ですから、それから竣工まで半年以上はかかるとして、11月12月の入居ではないかと推測します。
2018年は戊戌九紫中宮年で、二十四山方位で乾~艮までの90度内は年三煞となり、この範囲の坐となる建物への入居はタブーなのです。兼重邸は亥山巳向と思われますが、坐の亥は年三煞の範囲にはいってしまっており、亥はこの年、劫煞となりますので、災厄を招く憂いがあります。
間違いなく風水を取り入れた大邸宅ではありますが、残念ながら2つの大きな問題点があります。
家長個人の年運として、天戦地冲や空亡(天中殺)などが関わってくると、それらが引き金となって災厄が生じてくるのです。
次回は命理学の観点を交えて、考察したいと思います。
註)
※地理師;日本では風水師と称されるが、香港はじめ中国本土や台湾、マレーシア、シンガポールなどでは地理師と称されることが多く、地理師は陰宅陽宅の両宅を扱えなければならない。
追伸)
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