2010年10月にご依頼をいただき、土地選びから始め、2011年に入ってから新築基本設計の風水アドバイス、そして氣場改良工事、坐向を決定する玄関取付工事立ち会い、ご入居吉日時鑑定と、フルメニューにて行わせていただきました。2020年現在も、ご夫婦と中学1年になる息子さんの三人で、狭いながらも明るく笑顔の絶えない家庭を築かれています。
三元玄空風水による風水鑑定実例『2011年N邸新築基本設計』第一回;土地選び
2002年から始めたホームページも、日々進化しているネット環境にそぐわなくなってきたため、昨年アプリを変えてリニューアルしました。新ホームページは、2005年から15年間続けているブログを取り込み、かなりの情報量となりました。ブログカテゴリーを整理している中、風水鑑定の実例記事が少ないことを知り、我ながら以外に感じました。もちろん個人情報ということもありましたが、せっかくの風水鑑定資料が眠ったままの状態では意味がないと実感しました。
長年実践鑑定で蓄積されたデータはかなり膨大ですが、貴重な今後の研究資料として、匿名で住所も特定できない形で徐々に公開していきたいと思います。
先ずは東京都内のN邸について取り上げます。N邸は2011年に完成した一戸建ての新築物件です。
N様はウメサンが塾頭を務める立命塾の第三期生で、ご主人と息子さんの三人家族です。2010年秋にご依頼を受け、土地探しから行いました。N様は子丑空亡です。空亡(天中殺)期は、物事が実体化しない期間ゆえ、人生における重要行事は避けるべき期間です。当然不動産購入も重要行事です。子丑の年が明けた2010年(庚寅年)を待って、いよいよ土地購入、そして待望の新居を建築することとなり、ご依頼をいただきました。
土地代、建築費含めて2,000万円の限られた予算の中、三物件ほど候補があがりました。風水上の土地選びにおいては、次の観点を考慮しなければなりません。
①巒頭(らんとう)
②土地の歴史
③周辺地域における今後数十年の開発計画の有無とその内容
④旺氣が進入する建物坐向となるか
それではひとつひとつ、詳述したいと思います。
①巒頭
巒頭とは地形や自然または人工の造形物(石、森林、河川、湖沼、建物、道路、電信柱等)の吉凶や影響を判断する技法を言います。中国江西省がルーツとされ、山脈を龍に例え、水(河川)の流れや穴を保護する砂(さ)の状態、それらの組み合わせを総合的な形として判断したのが原点である。地勢の実地検分を重要視する巒頭派では、羅盤は補助的なツールでしかなかったようです。
現代では龍穴砂水(りゅうけつさすい)という大規模な地形判断より、陽宅という住居・店舗・事務所等の対象となる形煞(けいさつ)に主眼が置かれています。形煞とは建物周辺環境が生む煞気のことで、T字路や袋小路に生じる槍煞、弓型の道路や河川が生む反弓路、建物などの鋭い角が生む稜角煞など様々ありますが、詳細な説明は当塾の「実践的風水学講座」に譲ることとします。
結論として、建物を建てた場合、煞氣を受けるような土地は購入すべきではありません。
②土地の歴史
土地の歴史を知ることも大変重要です。基本的に風水吉地は繁栄の氣に満ちていますので、住まいなら先祖代々、会社や店舗でも何代に渡り、何十年なかには何百年も繁栄し続けています。
下画像は、龍角散本社ビルです。今日、龍角散と言えばのど飴を思い出す方が多いでしょうが、発祥を辿るとなんと江戸時代後期まで遡り、秋田藩の御典医であった藤井玄淵氏により創製された薬が龍角散で、藤井玄淵氏が初代となります。明治維新により藩薬であった龍角散は藤井家に下賜され、1871年には現本社のある東神田豊島町(現東京都千代田区東神田)にて商いを始め、一般庶民にも販売しました。
現在の本社ビルは1991年に建築され、藤井隆太社長が八代目となられています。同じ地において150年もの長い期間、子々孫々と繁栄されているということは、間違いなく好風水地だと言えます。
下画像は東京都台東区浅草橋3-32-3にある中華楼です。
創業は大正12年で、日本での中華料理の草分けとして今日まで90年の歴史を誇り、現在の店主は4代目の塚田素久氏です。3代目の塚田眞弘氏は風水に造詣が深く浅草にtて風水専門店「風水改運中心」も経営されています。ウメサンは2002年に運命的な出会いをさせていただき、実践的な対策風水である化煞風水を体得させていただきました。100年近くも同じ地において繁栄をし続けているのは、やはりここも、好風水地と言えるでしょう。
大地の氣が流れるのは、山の尾根伝いだけではありません。平地にも大地の氣は流れており、これを平地龍と言いますが、上記二例は、泉の如く財旺の氣が地上に溢れる地なのです。
そうした土地は当然売地にはなかなかならないものです。
それでは売地は風水的に凶地なのかというと、決してそうではありません。中には掘り出し物もあるものです。しかしそうした掘り出し物に出会うことはめったにありません。
そこで現代の土地選びでは、吉地の対極にある凶地を避けるという発想が必要となります。ウメサンの長年の経験から、次のような歴史や経緯がある土地は避けるべきです。
a.谷間(たにあい)にある土地
山が迫っている土地の場合、谷間や谷の出口近くの扇状地などは避けるべきです。地の生氣は山の尾根伝いに流れ、これを龍脈と呼んでいることはご存知の方が多いでしょう。よって尾根と尾根の間にある谷間には地の生氣が行き渡らず、氣枯地(ケガレチ)となっていることが多いのです。
昨今、温暖化の影響で、集中豪雨が多発していますが、谷間は土砂が崩れ、土石流が発生しやすい地が少なくありません。村落の歴史を調べ、実際過去に、土砂崩れ、土石流の災害があった地はなおさらです。実際に2014年、広島県にて集中豪雨がもたらした土石流により、90名近い犠牲者を出した天災がありました。(詳細は広島土砂災害を風水学的に考察を参照ください。)
b.事件、事故のあった土地
いわゆる事故物件です。取り分け、殺人事件や自殺、長い間発見されない孤独死などのあった物件は、更地となっていても、無念な残留波動が土地に浸み込んでいることが多く、避けるべきです。
c.倒産、破産して売りに出された土地
倒産した会社の物件、前居住者が破産した物件は、建物が取り壊され更地となった売地も、a.と同様に負の残留波動が土地に浸み込んでいることが多く、避けるべきです。
d.湖沼や池を埋め立てた土地
湖沼や池は、龍神様が祀られている※1ことが多く、それを埋め立てた宅地は、当然地盤も緩く、何よりも長年信仰されていた龍神様を無下にしているようで、龍神様の怒りに触れるとは言いませんが、できれば避けたいものです。
e.墓地があった土地
墓地だった土地を宅地にするなんてことはあり得ない!そう私も思っていました。十数年前、買いたい土地の候補地がいくつかあるのだが風水鑑定してほしいというご依頼を受け、出張鑑定しました。午後1時に最寄り駅で待ち合わせ、車で案内いただいて3つほど現地鑑定した後、お客様からもうひとつ見てもらいたいということで、案内されました。ゆるやかな坂の途中にある更地でしたが、陰の氣が強いなと感じました。
土地の中央に立って羅盤測定をしたところ、指南針が盤面と平行にならず、傾いてしまうのです。ウメサンの羅盤は水平器の付いているタイプですが、羅盤本体は水平にして何度測定しようとしても、傾くのです。
指南針は名称通りに磁南を指す針ですが、それだけではなく、その地の氣により、様々な反応をします。そうそう滅多にあることではありませんが、妖気や霊気のあるところでは針が生き物のようにゆっくりと動いたり、今回のように傾いたりします※2。
依頼くださったお客様に、ここは以前、どのような使用がされた土地ですか?と尋ねたところ、「くわしいことはわからないが、売地にするために整地したところ、破損した古い墓石の一部が出てきたと聞いています。相場からすればかなり安価なのですが、やっぱりやめたほうがよいですかね。」との返答をいただきました。地方に行くと、少ない墓石がある小さな墓地を見かけますが、恐らくそうした墓地があった場所だったのではないでしょうか。もちろんウメサンの回答も、「絶対やめるべきです!」
以上、土地そのものについて、避けるべき条件を列挙しましたが、目に見える近隣に、墓地や葬儀場、どうしても死者がでやすい救急病院などがある土地も、できるなら避けることをお薦めします。誤解していただきたくないのですが、決してそうした施設が悪いと言っているのではなく、陰の氣が強過ぎる場であるからです。またまた誤解していただきたくはないのですが、陰の氣が悪いわけではなく、強過ぎる、偏り過ぎる場は、生者の生活する場にはそぐわないのです。
風水は生者の生活する場を陽宅、死者の生活する場を陰宅と言って分類しているとおり、生者の生活する場は、陽の氣が陰の氣より勝った場であるべきなのです。
ご存知とは思いますが昨今になって、不動産を購入したり賃貸契約をする場合、もちろん個人情報保護内で、前居住者、前使用者のある程度の状況や移転理由などは、売り手が開示しなければならず、必ず確認してほしいです。しかしより過去のことは開示義務がないのですが、直近の居住、使用状況が最も影響があるわけで、必ず確認してほしいと強く願います。
③周辺地域における今後数十年の開発計画の有無とその内容
ウメサンが住む地は、桶川市の中の農業調整区域で、簡単には農地転用して宅地や商業地にはできませんが、それでも移住した21年前と比べると、一車線の県道が移設されて二車線の広い道路になったり、圏央道のインターチェンジができたり、街並みの様子がかなり変わっています。郊外でそうなのですから、都市部ではなおさらでしょう。
ウメサンは出張鑑定する場合、現状だけでなく、近い将来、近隣にて、開発計画や工事予定がないかも、依頼客に確認していただいております。出張鑑定した時点では、煞氣を生じる形煞がないとしても、道路工事や電信柱などの電気架設工事、空き地だった前面に大きな建物が建てられたりすると、生氣が進入しなくなったり、逆に煞気を受けるようになってしまったりするのです。
ですから近い将来、できれば十数年先、二十数年先の開発計画などの有無を確認しておく必要があるのです。
④旺氣が進入する建物坐向となるか
中国風水は実のところ多くの流派がありますが、共通しているのは陽宅三要門房灶と言って、
・門(現代では玄関)
・房(各部屋、特に寝室)
・灶(コンロはじめ火を扱う機器)
を重要視する点です。
この中で最も重視するのは、氣口(氣の出入り口)の中でも天地人三才の氣が進入する玄関です。
土地を選ぶ場合、敷地回りの道路や建物、電信柱などとの関係から、どの位置に玄関を設けることができるかを考慮しなければなりません。そして旺盛なる氣※3が進入するよう玄関を設定できるかが大変重要になってきます。
次回N邸を例にして、上述した①~④のチェック項目ごとに、具体的説明したいと思います。
註)
※1 龍神様
大地の氣を形態化した姿が龍ですが、山の尾根伝いの大地の氣の流れである龍脈上だからといって、必ず龍穴があるとは限りません。真の龍穴が龍脈の先には、必ず水(河川、湖沼など)があり、「龍は水を飲みにやって来る。」と例えられるのです。風水アイテムの代表である龍の口元に水を必ず置くのは、それが理由です。
湖沼には龍神様が祀られていることが多いのは、まさに龍が水を飲みにやって来るからだと言えるでしょう。
※2 (社)国際・風水協会主催の理氣風水マスタークラス実践講座レポートも参照ください。
※3 旺盛なる氣
三元九運という二十年周期を重視する玄空飛星派風水では、令星(現在司る九星、2004年~2023年は第8運で八白)のこと。向星(水星と一般的には呼ばれ、空気中に存在する陽の氣)として玄関に進入することを吉とする。
補足
地球温暖化の影響で、温帯地域に属していた日本も、だいぶ亜熱帯化しており、過去に土石流や水の氾濫がなかった地域でも、集中豪雨による異常な増水により、河川の近い地域では多数の家屋が床上浸水するようになってきました。取り分け昨年は、同時多発的に日本各地で河川の氾濫が起こってしまいました。
水は生命活動に不可欠な存在であり、風水的にも水は財氣をもたらす重要な要素ですが、人災とも言える近代のCO2排出により、風水理論が構築されてきた中国の清代までとは、地球環境が変化しており、平坦な地域でもハザードマップを確認して、河川の氾濫危険地帯も、住居を構えるのにふさわしくない地域として入れるべき時代になってしまったと感じます。
三元玄空風水による風水鑑定実例『2011年N邸新築基本設計』第二回;新築予定地決定
土地選びの風水観点は、
①巒頭(らんとう)
②土地の歴史
③周辺地域における今後数十年の開発計画の有無とその内容
④旺氣が進入する建物坐向となるか
でしたが、ひとつひとつ見ていきましょう。
先ず①巒頭としては、平地龍の龍脈上からはややはずれていますが、形煞による煞氣はひとつもなく、北と東と西は二階ないし三階建ての低層階建物が各々玄武、青龍、白虎の神獣に相当し、南側は広い一方通行の道路で開けています。着工前の時点ではまだ拡張工事中でしたが、もともとは狭い6m道路の両サイドに歩道を設ける拡張計画に伴い、道路両サイドの住居が立ち退き、工事が完了した2012年には、歩道を入れると15m幅くらいの広い道路となっています。この道路は制限時速30kmの一方通行で交通量も少なく、明堂の役割を果たし、神獣の朱雀に相当します。10坪ほどの狭小の土地ですが、東西南北を四神獣がつつましやかに守護する土地です。
ただひとつだけ気になるのは、玄関が前面にある建物の玄関と対峙する場合、対立的な氣を生じる門冲煞という形煞ですが、下画像のように南側正面は、一階がガレージとなっているビルトインの建物で、玄関と対峙していることです。しかし道路を隔てて15m以上も離れており、対立の氣は散じるため、ほとんどこの煞気の影響はないと判断しました。(車は施主の自家用車で、歩道拡張工事現場に風水鑑定時だけ臨時で停車している。)
平地龍の龍脈からはずれている風水対策として、氣場改良工事を行い、大地の生氣を呼び込むこととしました。
次に②土地の歴史についてです。東京都江戸川区は、東京湾満潮時の海抜より低いゼロメートル地帯が多く、残念ながら今回のN邸予定地も属します。よって、江戸川区ほぼ全域が、大規模水害時に浸水する恐れがあり、また大地震時には液状化する可能性があります。
今回N様が購入された土地は、2011年の東日本大震災時には液状化しませんでしたが、念のため杭を十数本打ち込むことになりました。
上画像でわかるとおり、住宅街に設けられた駐車場として十数年使用された土地でした。この土地を含め、十数年前までは広い敷地の居宅が建っていたようでしたが、居宅は解体され、土地を分筆して売地としたうちのひとつのようです。N様の実家が近くにありますが、父上の話では、昔の事だから覚えていないが、文筆前も、何か事故や事件や破産などがあって売りに出された物件ではないということでした。新築直前は十数年間、駐車場として使用されていた土地ゆえ、先ずは一安心なのですが、負の残留波動がないとは限らないので、土地浄化のため、氣場改良工事も行うこととしました。
次に③周辺地域における今後数十年の開発計画の有無とその内容
についてです。現状環境が風水的に良いとしても、開発により環境が変化し、煞氣を生じることもあります。
既述しましたように、N邸の前面道路は歩道を設ける拡張工事が行われている真っ最中でした。開発により、むしろ玄関前が広々とし、さらに電柱も取り除かれて、地中に電線が埋設されるとのことで、玄関前に頂心煞を生む電信柱が立つこともなく、景観も良くなります。
将来歩道に街路灯や、下水道のマンホールが設置されるとのことでしたが、玄関前には設置しないよう、区の担当職員にN様が強く要望されました。街路灯も玄関前にあれば頂心煞になりますし、上下水道のマンホールは牽牛煞となるため、避けねばなりません。N様の強い要望もあり、N邸前には設けられておりません。
最後に④旺氣が進入する建物坐向となるか
についてです。
上述しましたように、N邸予定地は、東西に走る道路に面した南向きの居宅となりますが、二十四方位では丁向きか午向きか丙向きのどれかになります。
20年周期の三元九運を重視する玄空飛星派風水では、時の九運の令星が向星として玄関に進入することを上吉とします。2011年当時は、第8運(2004年~2023年)で令星は8(八白)ですが、同じ南向きでも、午向きか丁向きであればこの条件を満たし、最も旺盛な氣が玄関に進入するのです。
通常は前面道路と平行に建物を建てますが、旺盛な氣が玄関に入るように、道路に対し敢えて建物向きを振る場合もありますが、今回の敷地は10坪と狭く、それはできません。建物自体を振らず、玄関向きだけ振っても良いのですが、幸い今回の場合、道路に平行に建築すれば旺氣である八白が進入する丁向きとなります。
土地が決まった後、実践的風水学を受講されたNさんを中心に、設計士さんと基本設計をしました。ウメサンも相談役として少しアドバイスさせていただきました。
風水学上のさまざまな注文を快く受け入れてくれた施工会社に感謝してやみません。もちろん施工上、どうしても難しい内容もあり、そこはお互い妥協しながらも、85点はつけられる風水設計にはなったかと思います。
詳細は、
三元玄空風水による風水鑑定実例『2011年N邸新築基本設計』第三回;風水による間取り
にて詳述します。
※1頂心煞(ちょうしんさつ)
「玄関前や窓の前に、視界を二分するように、大木や電信柱がある」場合だが、「頂心煞」という殺気を生む「場」である。この煞の影響は、心臓病など健康を害したり、夫婦仲をはじめとして、家族関係を損ないやすい。
この化煞法としての最善策は、大木等を移動することだが、木は移動したり、切ったりすることはできても、公共物である電信柱は困難なことが多く、そうした場合は、玄関外の扉の上や窓の上などに、「凸面八卦鏡」を掛けることにより、玄関前や窓の前に、大木や電信柱などの尖塔がある「場」が生む煞気を、ある程度和らげることができる。
この他の化煞法としては、低木を何本か、庭の電信柱前に植樹したり、植物の鉢植えを置いたりすることにより、「場」が変化して、かなり尖塔の煞は和らぐが、できれば、凸面八卦鏡と合わせて行うとよいだろう。
※2牽牛煞(けんぎゅうさつ)
典型的な牽牛煞は、玄関前が下り階段やスロープになっている場合で、財の氣を迎えても迎えても、どんどんと引き流されてしまい、家庭内の雰囲気が殺伐としたり、店舗や事務所の場合は、がんばってもがんばっても財が流れやすかったり、閑古鳥が鳴いたりしやすい。
この化煞法は、氣を呼び込むために、玄関の上に「凹面八卦鏡」を掛けたり、玄関ホールに「紫水晶のドーム」を置いたりする。
玄関前が、往来の激しいまっすぐな道路や線路、まっすぐ流れる河川の場合も、同様に氣が引き流されてしまうので、同様の化煞法が効果的である。
三元玄空風水による風水鑑定実例『2011年N邸新築基本設計』第三回;風水レイアウトのキーワード「陽宅三要『門房灶』」
ウメサンが塾頭として、風水師の養成を行っている立命塾も、早いもので14年目に入りましたが、100名以上の卒業生を輩出させていただきました。その中には一級建築士や工務店経営者もおり、設計士や施工業者が未定の場合は、ご紹介をさせていただいておりますが、大方はすでに施工業者が決定しているケースが多く、N様も父上のお知り合いの工務店に決定していました。
ウメサンの場合は、最初から設計に携わることはほとんどありません。理由は、なるべく施主様の希望を優先したいからで、先ずは施主様のご希望を反映したラフ図面を設計士と作成していただくこととしております。
そのラフ図面を元に、施主様、設計士の先生、そしてウメサンとの三者会談の場を設け、風水師の観点からアドバイスをさせていただくこととしております。(設計士の他、施工会社の担当者が加わったり、設計士は不在で施工会社の担当者だけの場合もあります。)大方は、新築予定地にて待ち合わせ、施主様の現住居または施工会社が近い場合はどちらかで、どちらも遠方なら近くの喫茶店やファミレスで行います。時間的には2時間から3時間程度です。
今回のN邸の場合、土地四辺のうち、道路に面しているのは南の一辺だけでしたが、現地における南方の道路境界線上での羅盤測定では、どこで測定しても境界線は24方位で乙-辛の15度内に入っていました。よってこの土地に建物を建てた場合の向きは24方位で丁向きとなり、坐向は癸山丁向となります。
風水学では始源(しげん)と言って、行事を開始するときを重要視します。新築に関わる行事としては、地鎮祭、上棟式そして入居がありますが、どれも開始のときを重要視し、吉日時であるべきとします。どの行事も重要ではありますが、家宅内の氣の分布図である玄空宅運盤(飛星チャート)は、天地人の三才の氣が揃う入居時が始源となり、三元九運と坐向により定められます。
2011年入居となりますので、三元九運は下元第8運(2004年~2023年)です。坐向は癸坐丁向ゆえ、玄空宅運盤は下記のようになります。
この9つに分けられた宅運盤を基に、基本設計のレイアウトをしていくのですが、挨星(あいせい)盤とも呼ばれます。挨とは散りばめられるという意味ですが、九星を表す数字が各宮(ぐう、方位のこと)に三段になって散りばめられており、各段の意味を簡潔にまとめてみました。
最も風水上大事なことは、陽宅三要が吉となることです。陽宅三要とは、門と房と灶(そう)の三つです。そして九星には吉凶があります。吉凶は三元九運により変化しますが、下元第8運における吉凶は下記のとおりです。
この中で最も重要なのが門です。
門とは、今日の住居では玄関を指します。玄関に進入する外氣(具体的には向星)が旺氣であることが大事です。
次に大事なのが房(ぼう)です。房とは部屋のことですが、特に重要な部屋は、時間的にも長く滞在し、心身の疲れを取り英氣を養う睡眠の場、寝室(子供部屋も含む)です。もちろん家族が集うリビングや食事をするダイニング、長い時間滞在する部屋(書斎や仕事部屋)も考慮しますが、先ずは寝室が安眠の場となるようにレイアウトします。
そして、灶(そう)もおろそかにできません。灶とは、その字体からも連想できるように昔は、調理のために直火により煮炊きする竈(かまど)を指しましたが、現代ではコンロに当たります。(灶とは昔の竈、今日のコンロですが、火を扱う場はキッチンコンロだけではなく、暖炉や湯沸し器などもあるので、上記紫色のまとめ文では灶ではなく炉としています。)
私たちのエネルギー源となる飲食物を調理する場ゆえに重要であることもそうですが、風水学的には、火を使う場であることを重要視します。洋の東西を問わず、昔から火は神聖視されてきましたが、古典風水学でも重要視してきました。取り分けコンロは、飲食物を調理するゆえ、住民の健康に大きな影響を与えるのはもちろん、家族間の和合、そして経済力(財運、金銭運)にも影響をもたらします。
現代では直火で熱するガスコンロだけではなく、電磁力で熱するIHコンロも人気ですが、火を生じないIHコンロなら大丈夫かというとそうではありません。現代風水学的に言えば、火を始め、電磁力やマイクロ波などにより、熱して化学変化を起こす場は、住民の健康はじめ家族関係や経済力に影響を及ぼすのです。
もちろんコンロは最も重要ですが、高熱を発する温水器や暖炉、ストーブも大事ということです。取り分け固定されるコンロ、暖炉、湯沸し器、温水器などをどこに設置するかということは、風水師なら当然考慮しなければなりません。
陽宅三要を吉とするにはどうするのかは、第四回以降でN邸を実例にして、具体的に説明致します。